ゾッとするサイコサスペンス
「人気作はだいたい観てしまって、新しい“刺激”が足りない」──。
ドラマ好きのあなた、こんな経験はありませんか?
そんなときに偶然にも視聴したのが、本記事でお伝えする『ザ・フォロイング』というドラマです。
サービス名 | 評価スコア | 傾向・所感 |
---|---|---|
IMDb | ★7.4/10(調査日:2025/07/22) | 平均的またはやや平均以下の評価です。一部の視聴者には楽しめる要素があったものの、多くの視聴者が物足りなさや問題点を感じた可能性を示唆しています。 |
Rotten Tomatoes | 批評家スコア:58% ユーザースコア:6% | 批評家の評価はシーズンによって差があり、シーズン1と3は「フレッシュ(好意的)」評価であるのに対し、シーズン2は「ロッテン(否定的)」評価です。全体としては賛否が分かれる傾向にあり、リーズ全体の質に一貫性を感じていなかった可能性が示唆されます。 |
Metacritic | ユーザースコア: 5.8/10 | ユーザースコア、批評家スコアともに「賛否両論」または「平均的」な評価となっています。批評家スコアは一部で低い評価(シーズン2の44点)もあり、作品の一貫性や質に対する厳しい意見が見られます。全体的に、熱狂的な支持と同時に、改善点を指摘する声も多かったことがうかがえます。 |
正直、最初はあまり期待していませんでした。「よくあるFBIと殺人犯の対決ものかな」と。
ところが!
1話目から予想の裏をかかれ、「こんな構成でいくの…」と鳥肌。そして気づけば、1話、また1話と深夜に観る手が止まらず…気づいたら夜明けという中毒性。
『ザ・フォロイング』最大の魅力は、その巧妙な心理的恐怖の演出にあります。
見えない恐怖、予測不能な展開、そして人間の心の闇を丁寧に描写することで、視聴者に深い不安感を植え付けます。
主演はケヴィン・ベーコン。実力派俳優が挑むのは、カルト的な連続殺人犯と、その狂信的フォロワーたちとの戦い。
“洗脳”と“心理戦”が交錯する、異常なまでの知能ゲームが展開されていきます。こういうの、みんな好きですよね。
本記事では、そんな『ザ・フォロイング ドラマ』の魅力を、ネタバレなしでたっぷりお伝えします。

管理人紹介
当ブログの管理人「ナカマチ」です。
- VOD利用歴5年以上
- 大の海外ドラマ好き。土日にまとめて10話くらい観てます
- Webのお仕事をしています
ザ・フォロイング | ドラマの作品概要と魅力の核心

ザックリとあらすじ
物語は、猟奇殺人犯ジョー・キャロル(ジェームズ・ピュアフォイ)が刑務所から脱走するところから始まります。
彼は心理的なカリスマ性で信者たちを“フォロワー”に引き込み、模倣殺人や宗教的儀式を重ねながらネットを通じて世界中にカルトを拡大していきます。
事態を重く見た捜査当局は、かつて彼を逮捕した元FBI捜査官ライアン・ハーディ(ケヴィン・ベーコン)を再登用し現場に送り込みます…。
本作は、2013年から2015年にかけて放送されたアメリカのクライム・サスペンス・ドラマです。
ケヴィン・ウィリアムソン(『スクリーム』や『ドーソンズ・クリーク』の脚本家)が製作総指揮を務め、FOXネットワークで放映されました。
「オンラインで繋がった狂信者カルト」という現代的な恐怖を描きながら、個性派俳優ケヴィン・ベーコンと詩的な邪悪さを放つジェームズ・ピュアフォイの心理戦が見どころ。
私がこのドラマを観てみようと思ったのは、大のケヴィン・ベーコンのファンだからです。
少しくたびれた感じの中年を演じさせたらこの人の右に出る者はいないでしょう。本作もまさに、そんな役どころです。
ライアン vs キャロル


本作の最大の魅力は、主役ふたりの関係性です。
主人公のライアン・ハーディは、かつて殺人鬼のキャロルを逮捕したものの、その代償として心に大きな傷を負いました。
一方でキャロルは、まるでゲームを楽しむようにライアンを再び追い詰めようとします。
しかも、キャロルはただの殺人鬼ではありません。彼は詩人であり、大学教授でもあり、なにより「人を操る天才」。
信仰に近いレベルで彼を崇拝する“フォロワー”のネットワークを築き上げます。
信者たちは社会に溶け込み、普通の生活を送りながらジョーの指示を待っています。
SNS時代ならではの、恐ろしいまでの拡散力と集団心理を使って、人を殺人に走らせていくのです。
このふたりの会話には、どこか「もう戻れないと知りつつ、それでも言葉を交わさずにはいられない」ような空気が漂います。
言葉よりも、目線や呼吸のタイミングにこそ、複雑な感情の深みが現れていて、見ている側の心を静かに揺さぶってくるのです。
しかし奇妙なことに、彼らの間には“理解者”としてのつながりさえ感じさせられる瞬間があるのです。
ザ・フォロイングは観る者の“読解力”を試してくるドラマ
この作品は、視聴者に安易な答えを与えてくれません。
誰が本当の“味方”なのか、何が“嘘”で何が“演技”なのか──。
一話ごとに次々と覆される事実と、そこに散りばめられた伏線の数々。
それがすべて回収されていく瞬間、思わず「うわ、やられた…」とつぶやいてしまうはずです。
伏線回収の快感、そして展開の意外性は、何度でも見返したくなる中毒性があります。
人間関係の複雑さが、とにかく重い。でも、そこがいい
『ザ・フォロイング』は「感情の重さ」でもズシリとくるドラマです。
信頼と裏切り、依存と拒絶、母性と狂気──キャラクターたちが織りなす人間模様は、単なる犯罪劇の域を超えています。
特に、クレア(ジョーの元妻)とライアンの関係性、そして若手捜査官マイク・ウェストンの“揺らぎ”は要注目。
彼らの感情が揺れ動くたび、観ているこちらも胸がギュッとなるはずです。
また、ジョー・キャロルが元文学教授という設定は、作品に独特の深みを与えています。
彼の犯行には文学的な意味づけがなされ、特にエドガー・アラン・ポーの作品が重要なモチーフとして使われています。
この文学的アプローチにより、単なる殺人事件を扱ったドラマを超えた知的なサスペンスが展開されます。
「罪悪感」と「守りたい」という矛盾が入り混じる
主人公ライアンにとって、クレアは、“ジョー・キャロルに関わる唯一の良心”のような存在です。
しかし、かつて彼女との関係を持ったこと自体が、自分の中での「許されざる過去」でもある。
だからこそ彼は彼女を守ろうとする反面、近づけば近づくほど自己嫌悪に陥るという矛盾した感情に揺れ続けます。
一方のクレアも、ジョーの“狂気”に巻き込まれて人生を壊された被害者でありながら、
ジョーとの間にできた息子ジョーイの存在があることで、簡単に過去を否定することもできないという苦しみを抱えています。
静かなる“純粋な狂気”ーーエマ・ヒルという存在のヤバさ
『ザ・フォロイング ドラマ』の中で、ある意味ジョー・キャロル以上に“観ていて怖い”と感じるキャラクターがいます。
それが、エマ・ヒル。
彼女は表面上はごく普通の若い女性に見えるんです。
柔らかな物腰、落ち着いた口調、冷静な判断力。とても“危険人物”には見えません。でも、それこそが彼女の怖さの根本なんです。
無垢に見える「ベビーシッター」の仮面
エマは物語序盤、ある家庭に“ベビーシッター”として自然に入り込みます。
これ、よくあるスパイドラマや潜入捜査モノの設定……かと思いきや、彼女は正義のために動くわけではない。
むしろ、その逆。愛と忠誠を“間違った方向”に全力で注ぎ込んでいるのです。
表情にはほとんど感情の起伏がありません。だからこそ、観ている側としては「何を考えているのかわからない」「どこまでが演技でどこまでが本心なのか読めない」という不気味さを感じます。
エマの怖さは、「自分を善だと思っている悪」
ジョー・キャロルに対するエマの忠誠は、ただの「洗脳された信者」では説明がつかないレベルです。
彼女は信じ切っているんです。ジョーが“世界を正す存在”であると。自分の行動が正義であると。
そして何より、自分自身が「特別な役割を担っている」と確信している──それが彼女の最大の危険性です。
このギャップこそが、人間ドラマとしてもサスペンスとしても、エマを際立たせています。
まとめ:ザ・フォロイングは、“耐性”が試されるドラマ


「ザ・フォロイング」は、視聴者と批評家の両方から賛否両論の評価を受けているドラマです。
特にIMDbやMetacriticでは平均的なスコアに留まり、Rotten Tomatoesの批評家スコアもシーズン間で変動があることから、シリーズを通して一貫した高い評価を得るには至らなかったようです。
一部の視聴者や批評家は作品のスリリングな展開やケヴィン・ベーコンの演技を評価する一方で、プロットの整合性などを指摘する声もあったそうです。
こうした指摘のとおり、たしかに、このドラマは人を選びます。
展開が重くて、登場人物の闇が深すぎて、「しんどい」と感じる瞬間もあるかもしれません。
でも、それでも観てよかった──そう思わせてくれるのが『ザ・フォロイング ドラマ』の本質です。
心をえぐるような緊張感、予測不能な展開、何よりキャラクターたちの“人間臭さ”。どれもこれも、観る者の神経をピリピリ刺激してきます。
このレビューを読んだあと、「なんか気になるな」と思ったなら、“あなたの中の何か”がこのドラマに呼ばれている証拠かもしれません。
こんな作品もきっとハマるはず!|『ザ・フォロイング』の世界観にハマったら…
マインドハンター(Mindhunter)
FBIが「シリアルキラー」という概念を生み出す過程を描いたNetflixオリジナルドラマ。
知的サスペンスが好きならハマること間違いなし。精神的な深掘りが『ザ・フォロイング』と通じます。
ユートピア〜悪のウイルス〜(Utopia)
一見ポップなビジュアルながら、内容はかなりハードな陰謀系サスペンス。
予測不能な展開と狂気の連鎖という点で、『ザ・フォロイング』と強い親和性があります。
サウスランド
LA市警の警察官たちが、凶悪事件や日常のトラブルに直面しながら、それぞれの人間ドラマを繰り広げる。リアルな警察活動と彼らの苦悩を描く骨太な群像劇です。
また次回も、皆さんがまだ知らない素晴らしい作品との出会いをお届けできるよう、路地裏の探索を続けてまいります。



最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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