ただのヒーローものじゃない!
「スピードで戦うヒーロー? なんだか単純そう」
初めて『THE FLASH/フラッシュ』のあらすじを読んだ時、正直そんな印象を受けました。赤いスーツに身を包んで、光よりも速く駆け抜ける男が悪を倒す。
しかし本作は、ただのヒーローものではありませんでした。むしろ“人間ドラマ”であり、“時間”と“選択”というテーマを丁寧に掘り下げた、非常に緻密なドラマ作品です。
ちょっと古くさく感じるかもしれませんが、まあ観てみてください。”見てしまったら戻れない”というのが正しいかもしれません。
ごく普通の科学捜査官である主人公が、ある日突然、超高速で移動できる能力を手に入れる。でも、その能力を得た代償として、彼の人生はどんどん複雑になっていきます。
ジャンルはSFアクション。よくあるパターンの「強い力を得た主人公が悪と戦う」みたいな単純な話じゃないんですよ。
むしろ、時間軸がねじれまくる複雑なSF要素と、登場人物たちの心の奥底にある感情が絡み合って、観ているうちに「あれ、これってどういうこと?」って頭が混乱するくらい深い作品なんです。

管理人紹介
当ブログの管理人「ナカマチ」です。
- VOD利用歴5年以上
- 大の海外ドラマ好き。土日にまとめて10話くらい観てます
- Webのお仕事をしています
スピードの力は神の祝福か、それとも呪いか

主人公はバリー・アレンという若き科学捜査官です。
最先端技術を開発しているS.T.A.R.社の爆発事故の影響で「高速で動ける能力」を手に入れたところから、全ては始まります。
彼のこの能力って、単純に「早く走れる」だけじゃないんです。
時間を遡ったり並行世界を行き来したりできる。でも、過去を変えれば未来も変わるという当然の結果が、想像以上に重い代償として跳ね返ってくるんですよね。
この作品の肝は、「能力を得たから幸せになれるわけではない」という現実味のあるテーマにあります。
“速さ”を手にした代償に彼が向き合うのは、「過去」と「選択」の重み。そしてその重みを、彼の周囲にいるキャラクターたちが支え、時にはぶつかり、裏切り、涙を流す。
本作では「家族とは何か」「人を信じるとはどういうことか」といった、シンプルだけれど決して軽くない問いが何度も描かれます。
どの登場人物にも、善悪だけでは測れない背景があり、それがストーリーの深みに直結しています。
「あの時ああしていれば…」って誰でも思うことがあると思うんですが、バリーは実際にそれができてしまう。
でも、良かれと思ってやったことが、大切な人たちを苦しめる結果になったりする。この罪悪感と責任の重さが、ストーリーに深みを与えているんです。
しかも、時間軸の操作によって登場人物の関係性がガラッと変わったりするので、「え、この人たちこんな関係だったっけ?」って混乱することもしばしば。でも、その混乱も含めて楽しいんです。
個性モリモリのサブキャラたちが物語に厚みを加える

主人公の周囲には、決して彼を引き立てるだけの「脇役」ではない、実に魅力的なキャラクターが集まっています。
まずは幼馴染のアイリス・ウェスト。彼女はヒーローに恋をする“お決まりのヒロイン”ではなく、きちんと自分の足で立ち、自分の正義を信じて戦うジャーナリストです。
そしてジョー・ウェストは主人公の育ての親であり、警察官としての倫理観と父親としての優しさを持ち合わせた存在。
加えてS.T.A.R.ラボのメンバーたちもキャラが立っています。科学者ケイトリン・スノーと天才エンジニアのシスコ・ラモンは、バリーの物理的なサポートだけでなく、精神的な支えとしても欠かせない存在。
たとえばケイトリンは医学博士でありながら、自分の中に眠る危険な能力に悩んでいたり、シスコは天才エンジニアでムードメーカーだけど、実は深い責任感を持っていたり。そして何より、ハリソン・ウェルズという謎多き科学者の存在が、物語に重厚な影を落としているんです。
このウェルズ博士なんですが、異なる並行世界から来た複数の「ウェルズ」も登場します。
同じ顔でも中身はまるで違うという、演じる側も視る側も大変なこの設定が、意外な笑いや感動を生み出します。
「今回のウェルズはどんな人なんだろう?」って毎回ドキドキします。
家族の絆も描かれ方が丁寧で、バリーの育ての親であるジョー刑事との関係や、幼馴染のアイリスとの恋愛関係など、ヒーローとしての戦い以外の部分でも感情移入してしまいます。
観るたびに伏線の深さに気づく——何度でも見返したくなる物語

『THE FLASH/フラッシュ』が単なる“1回観て終わり”の作品ではない理由は、圧倒的な伏線回収にあります。
初見では見逃していた一言や表情が、数シーズン後にまさかの形で意味を持つ。何度も見返すことで、「あの時のセリフって、そういう意味だったのか!」という発見があります。
また、物語が進むごとに「時間」と「並行世界」という、SF的にも極めて複雑なテーマが絡んできます。
ですが、それがただの難解なギミックに終わらないのが本作のすごさ。あくまでも“人間”を描くために、この仕掛けが使われているのです。
ストーリーにテンポよくアクションが差し込まれる一方で、人間ドラマとしてのテンションも決して失われません。バリーがどんなに速く走っても、「感情」だけは追いつけない。そのバランスが絶妙です。
スピードスターのアクションって、映像化するのが難しいと思うんですが、特殊効果がすごいんです。バリーが超高速で移動するシーンは、まるで時が止まったような美しさがあります。
戦闘シーンも、ただ殴り合うんじゃなくて、スピードを活かした頭脳戦的な要素があって見応えがあります。「速い」ということをどう戦術に活かすか、その発想の豊かさに感心させられます。
まとめ:THE FLASH/フラッシュは「時間」がカギの人間ドラマでもあった

『THE FLASH/フラッシュ』は、ただ走るだけのヒーロー物語ではありませんでした。
日本での知名度がそれほど高くないのは、アメコミ系作品への先入観があるからかもしれません。でも、先入観を捨てて観てみると、想像以上に深くて面白い世界が待っているんです。
私自身、軽い気持ちで観始めたこのドラマに、まさかこんなに心を掴まれるとは思ってもいませんでした。
見終わった後にで何度も「次のエピソード、おかわり!」ということが何度もありました。
派手なアクション、緻密なプロット、そして何よりも深くてリアルな人間関係。全部が揃った隠れた名作です。
関連作品の提案
レジェンド・オブ・トゥモロー
同じDCユニバースに属しながらも、時空を超えるチーム戦に焦点を当てた作品。『THE FLASH/フラッシュ』を観て「時間の重み」に惹かれた方にはぜひおすすめです。キャラクターの多様性と、個々の成長が楽しめます。
ウォッチメン
正義とは何か?ヒーローとは何者か? というテーマに深く踏み込んだ名作。哲学的な視点からヒーロー像を捉え直す本作は、フラッシュとは対照的ですが、問いかけの深さでは負けていません。
ARROW/アロー
同じ製作チームが手がけた作品で、フラッシュとも深い関わりがあります。こちらはより現実的でダークな雰囲気ですが、複雑な人間関係と予測不能な展開という点では共通しています。主人公のオリバー・クイーンが弓矢を使って戦うヒーローなんですが、彼の過去に隠された秘密が少しずつ明かされていく構成が絶妙です。
また次回も、皆さんがまだ知らない素晴らしい作品との出会いをお届けできるよう、路地裏の探索を続けてまいります。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!
コメント