不条理な事件の発生
みなさん、「北欧ドラマ」って観たことありますか?
おそらく多くの人にとって北欧といえば、ARABIA(アラビア)やIITTALA(イッタラ)といった独特なデザインの食器を思い浮かべると思います。
しかし最近では「ミレニアム」シリーズや「ボーダー」などの映像コンテンツも人気があるんです。
本記事で紹介する「THE BRIDGE/ブリッジ」は、そうした人気作の陰にひっそりと隠れている存在なのですが、個人的にはもかなりの良作だと感じました。実際、ヨーロッパでは非常に高い評価を受けています。
本作は、国境上の橋で真っ二つに割れた死体が発見されるというとんでもない猟奇事件の発生からスタートします。
これを聞いただけですでに謎めいていますが、この作品は単なる「謎解きドラマ」では終わりません。
アメリカ産ドラマにはない、独特の「リアルさ」があるんです。生々しいという表現の方が合っているかもしれません。
そして犯罪者も警察も、みんな完璧じゃない。むしろ欠陥だらけの人間が、それでも必死に事件と向き合っている姿が、現実的に描かれています。
でもそこにこそ、他の国のドラマにはない「冷たくも美しい独特の緊張感」が詰まっているように思えて仕方ありません。
おそらくこれこそが、日本で話題にならない理由なのかもしれません。
しかし百聞は一見に如かず、見て損はない作品です!

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当ブログの管理人「ナカマチ」です。
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- 大の海外ドラマ好き。土日にまとめて10話くらい観てます
- Webのお仕事をしています
スウェーデンとデンマークを結ぶ橋で起きた衝撃の事件

物語の舞台は、スウェーデンのマルメとデンマークのコペンハーゲンを結ぶエーレスンド橋です。
この橋の中央、つまり国境線上で一体の遺体が発見されるところから全てが始まります。
この事件、調べれば調べるほど複雑で、しかも犯人の動機が全く読めない
。普通のクライムドラマなら「金目当て」とか「復讐」とか、分かりやすい動機があるじゃないですか。でも「THE BRIDGE/ブリッジ」は違います。
捜査を担当するのが、スウェーデン側からサーガ・ノレーンという女性刑事と、デンマーク側からマーティン・ローデという男性刑事。この二人のコンビが、また絶妙なんです。
サーガは天才的な洞察力を持っているんですが、人の感情を読むのが苦手で、思ったことをストレートに言ってしまう。
一方のマーティンは人情派で社交的。最初はお互いにイライラしているんですが、事件が進むにつれて、だんだんお互いの能力を認め合うようになっていく過程が本当に自然です。
でも、この二人が恋に落ちるといったいかにもな展開はありませんのでご安心(?)ください。
予測不能すぎる展開と複雑すぎる人間関係

この作品の一番すごいところは、絶対に先が読めないところです。
普通のミステリーって、だいたい中盤あたりで「ああ、犯人はあの人かな」って予想がつきますが、最後の最後まで本当に分からない。
「一筋縄ではいかない事件を追いながら、登場人物たちの内面があぶり出されていく」構造です。
正直、最初は「ふむふむ、なるほど…」と油断していた私も、途中で「あれ?これどういうこと…?」と混乱し、そして数話後には「まさか…!」とゾクッとさせられる展開に呑み込まれていきました。
しかも、登場人物たちの関係性が複雑すぎて、誰が味方で誰が敵なのか、途中で分からなくなってきます。
でもそれが不快じゃなくて、むしろ「現実ってこんなもんだよな」って思わせるリアルさがあります。
特にサーガというキャラクターが秀逸でキャラが立っています。アスペルガー症候群の傾向があります。
しかし見続けているうちに、彼女なりの正義感や優しさも垣間見えてきます。
彼女の「空気読めない発言」が、実は事件解決の鍵になることが多くて、「ああ、こういう人って社会に必要かもしれない」と考えさせられます。
マーティンも最初は「よくいる普通の刑事」かと思ったんですが、彼には彼なりの深い事情があって、それが物語が進むにつれて明らかになっていきます。
最初こそ噛み合わない2人ですが、やがて互いの強みを理解し合い、“最高に不器用だけど、やけにしっくりくる”名コンビに進化していきます。
ここでポイントなのが、彼らの関係が「友情」でも「ロマンス」でもなく、もっとこう…微妙で、でもリアルな距離感にあること。
お互いの価値観がしばしばぶつかるのですが、それでも“本物の信頼”が少しずつ積み上がっていく過程が、何とも人間くさいのです。
この辺りの人物描写の丁寧さは、ハリウッド作品とは一味違った深みを感じました。
こうしたことをうまく表現している俳優さんの演技には脱帽です。あとで調べてみたら、主人公を演じているのはソフィア・ヘリーンさんという方です。
気になって調べてみたらファンミーティングでのワンシーンのような写真が出てきました。役柄とは違う素敵な笑顔でギャップがすごいです。
北欧特有の暗い美しさと社会派要素

本作は映像も特徴的です。
北欧の冬の空気感がそのままスクリーンに再現されたような、灰色がかった色調。北欧の冬の風景って、寒々しいんだけど美しくて、その中で起きる事件がより一層不気味に感じられます。
そこに無機質な街並みやミニマルなインテリアが加わり、どこか静かで、でも確実に「何かがおかしい」感じを醸し出しています。
音楽も控えめなのに不穏。セリフ回しも静か。
だからこそ、感情の動きや小さな表情が際立って見えるのかもしれません。この“静寂の中に潜む暴力性”こそ、『THE BRIDGE/ブリッジ』という作品の最大の魅力かもしれません。
特にエーレスンド橋の風景は圧巻で、この橋が単なる舞台装置じゃなくて、物語の重要な「登場人物」の一人みたいに感じられてきます。
まとめ:なぜ日本で話題にならないのか本当に謎

『THE BRIDGE/ブリッジ』は、決して派手な作品ではありません。
キャラが大暴れするわけでも、CGバンバンの派手な演出があるわけでもありません。でも、だからこそ、観る人の「推理力」や「感受性」に火をつけてくれるのだと思います。
そうしたこともあって、北欧ドラマは「暗そう」とか「難しそう」っていうイメージがあるのかもしれません。
確かに重いテーマは扱っていますが、それ以上にエンターテイメントとしての面白さは十分です。
私も最初は「なんか地味そうだな」って思ってたんですが、一度見始めたら止まらなくなって、週末でシーズン1を一気見してしまいました。
もしあなたが少しマニアックな面白い海外ドラマを探してるなら、騙されたと思って本作を一度見てみてください。少なくとも、退屈することは絶対にないと断言できます。
この作品を楽しめる人にオススメの隠れた名作
TOP OF THE LAKE
自然の雄大さと人間の小ささを描いた異色作。小さな町で起きた少女失踪事件を追う女性刑事が主人公ですが、謎の深さ、人間の闇の描き方、社会的なテーマの掘り下げ方など、『THE BRIDGE』に通じる“ただのミステリーじゃない”空気感があります。
刑事ファルチャー 失踪捜査
実際に起きた事件をもとに構成されています。失踪者の情報を得るため、法的手続きを逸脱した自白の引き出しによりキャリアと人生が狂っていく様が描かれる骨太なクライムサスペンスです。
THE KILLING/キリング
各シーズンでひとつの事件を20日間(20話)かけて深く掘り下げていきます。『THE BRIDGE』と同じくデンマーク発の名作。重層的なストーリー構成と、時に政治的な視点を織り交ぜた展開は圧巻。人間関係の濃さ、感情のぶつかり合いが見応え抜群です。
また次回も、皆さんがまだ知らない素晴らしい作品との出会いをお届けできるよう、路地裏の探索を続けてまいります。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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